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13.11.05
島の出来事(その1)
この日は島に修学旅行生が来ていた。
クラスごとに振り分けられて、実家の民宿にも ひとクラスの男子が寝泊まりして満員御礼である。
島の義母と一緒に食事を出したり 掃き掃除なんぞを手伝って、
半月ほど島に滞在していた去年のことである。
クバ林の広場で夜、その学校の最終日のお別れ会でバ―べキュ―パーティが開かれた。
島の青年団がエイサーを披露するのだ。

義理兄はダイビングのインストラクターで、昼間 高校生達をシュノーケリングや釣りに連れて行っている。
真っ黒な肌を汗で光らせて皆の為に肉を焼いていた。
島義母の計らいで、肉が焼けた頃に(えへ)子供らを引きつれて、高校生らと一緒にエイサーを楽しんだ。
ひとしきり食べて広場に乗り入れてあるバンのリアドアを開けたところへ、島義母と並んで腰を掛け、
娘を横に座らせ休んでいたら 私達を見下ろす様に、声を掛けられた。
「大きくなったね~ お父さんにそっくりさぁ~…」
後半の 「そっくりさぁ~」 が消え入る様な感じで聞き取りにくかったが
ふと どこかの優しげなオバァが声を掛けてきたかと思いきや
声がする方は、真っ暗な林である。
目を凝らしてもそれらしき人は立っていない。すぐ隣に座っていた島義母でもない。
「い…いま なにか聞こえた?」と恐る恐る聞いてみると
「ん?ううん?」とか言って島義母はエイサーを見てる。 私だけにしか聞こえてない…
そうか やっぱり うそ え やだ そうなの? 胸がざわざわしてきた。
冷静になって反すうしてみると、その声はマイクを通したようなテープレコーダーで録音されたようなシャーとノイズのあるようなくもった音声だった。人の話し声とは異なる不思議な声。
それでも とても温かい愛情を感じる声。
広場の周囲は木々が生い茂り、深い闇に包まれている。
…除々にそれが この世の声ではないことに気付く。
しかし 叫ぶわけにはいかない。なんせ多感な高校生が大勢さん、同じ暗闇にいるのである。
えーと… ダンナもココには居ないし~ おかぁは聞こえてないし~
このざわざわ、どうしてくれよう 「…!」
ドラム缶で手作りしたバーベキューの網で 魚を焼いている義理兄のそばへ、そうっと近寄り、
「兄さん… 鳥肌が立っちゃった…あの 今 声がしたんだぁ…」と 子犬の様にすがりつく目で訴えると
「あ? …この辺はお墓だからなっ。気にするな!!」と あっさり豪快に言われた。
よくあるってこと?と理解したが それだけでは納得しきれなくて、今度は義妹のそばへ ススス…と
これまた近寄り、説明してると急に何だか込み上げてきて
「わたし 怖いっっ!!!」と思わず抱き付いて うぇ~んうぇ~ん と泣きつくと
義理妹は優しく背中を撫でてくれながら
「あ~聞こえたんだね~ 低い声だった? それきっとオバァの声さァ~ 」
と 答えが返ってきた。
ああ オバァなのか。 安心して、涙は シューと引っ込んだ。
なんせ ココはオキナワなんだもんな…と 納得できた。
投稿者 名古屋おんな : 13.11.05 01:55