2007年06月10日 00:00
趣味工房 サバニ小
「サバニ小」と書いて「サバニ ぐゎー」と読みます。
沖縄の人や沖縄が好きな人にとっては「しょう」ではなく「ぐゎー」と読むのは、
まったく問題なく読めると思うのですが、「ぐゎー」ってなんだか不思議な言葉ですよね。
「小」と書いて「ぐゎー」。この言葉は、物や人の言葉の後ろにつけて、
可愛いもの・愛おしさ、小さい様子の事を言います。
例えば「このミカンぐゎー食べなさい」。路地の事は「すーじーぐゎー」。
時にはこんな風にも使います^^
「ねーねーぐゎー、これあげよーねー」とか。
という事で「サバニ小」。
今回は糸満で沖縄の伝統的な舟であるサバニを縮小した模型で制作している
「趣味工房 サバニ小」のご主人、嶺井 政盛さんを訪ねました。
-そもそもいつ頃から作ろうと思ったんですか?また、なぜサバニを模型で?-
「この工房を始めたのは平成17年の2月からなんです。
実は元の仕事が自衛官だったんです。
定年が54歳なので、さぁこれから何をしようかと思いまして。
そこで期間は空いているんですが、23年前から趣味程度で作っていた
サバニの模型作りをまた作ってみようかなと思いまして。
ホームページに出したのは平成18年の2月からで最初は試行錯誤しながら
手作りで作っていたんですけど、月に一つか二つしか作れない状況だったんですね。
「これは手で作れるもんじゃないな」と思って少し制作を辞めたりして、
1年程かけて、機械を導入したり工程を工夫したりして
「これならお客さんに出せるな」という段階になったのでホームページに出したんです。
それで最近は月に五~六つは作れるようになりました。」
-作り方は、誰かに教えていただいたんですか?-
「話は24~5年前になるんですが、父親が漁師をやっていて、
親父もサバニを持っていたので休みの時によく釣りへ連れて行ってもらっていたんですね。
当時、親父のサバニは木とグラスファイバーを張り合わせ補修したものだったんですけど、
今思えば、もうあの頃からも木ではなくてグラスファイバーのサバニが出始めていました。
当時、もう木のサバニを買う人がいなくなっていたんですね。
木のサバニは腐ってきますからね。
それである時、港に行ったら木の作りたてのサバニが港に置いてあったんです。
つまり海の上にあるサバニを見るのが普通じゃないですか。
ところがその新しいサバニは販売用に港に置かれてあって、
作りたてというのは見たことがなかったのですよ。
よく見たら3枚の板だけでできていて、なのにびくともしないこんな舟ができるのか、
「わぁ凄いなぁ」と思ったんですけど、
「これ売り出して何日も置いてあるけど、誰もまだ買わんよ」って言うんですね。
とにかくその出来立てのサバニを近くで見ているうちに、どこで接いでいるのかな、
これは宮大工以上の技術じゃないかな、と思ったんです。
だけど、もう木のサバニは買う人がいなくなってきて商売ができず、
当時でも舟大工はいなくなってきていて、サバニはもう終わりなのかなと思ったんですね。
昔の舟大工というのは、木材を内地に買いに行っていたそうです。
宮崎の杉(飫肥杉(オビ スギ)が最適で、船大工は材料を買出しにいくところから
始まったと言われていました。」
(宮崎の飫肥杉は杉の生産量日本一と呼ばれています)
底30センチあるため沈むことがない全長8メートル弱のサバニ。
今は帆走レースなどで100万円近くするが、当時見たその木で作られたサバニは、
30数万円ほどで売られていたと記憶しているそう。
このサバニを見て、当時、嶺井さんは
「自分でも欲しいくらいのサバニだった。」と、
1週間ほどノートを持って通いスケッチをして研究したと、
現在の「趣味工房 サバニ小」誕生のルーツを語ってくれました。
本はぎと南洋はぎの誕生
「さだかではないのですが、明治時代からあると言われているサバニを作るために、
昔はやんばるから大きな木を切っていましたが、
首里から「舟を作るために木を切っちゃいかん」という伐採禁止令が出、
当時の船大工は、骨組みを入れ、切れ端の板を打ちつけ作る南洋はぎという作り方を考えだしました。
昔は舟の両側の木の<カーブ=曲げ>を作るために、
しんめーなーという大きな鍋にお湯を沸かしてかけながら曲げていったそうです。」
あの微妙なカーブは木なので当然、割れやすいのですが、
こうして作られたサバニの舟大工の仕事はとても大変だったようです。
1/12スケールのサバニ
「素材は杉。こちらをまず、1/12にスケールを縮小したサイズでサバニの両側面と
底の形というベースとなる3枚の厚い木を削り、両側に桟(さん)を削って
オリジナルの固定版でしばらくカーブを出すために2枚の板を固定します。」
こうして手間隙かけてパーツを作り上げ、竹釘と接着剤で組み立て、
それぞれの船体に文字を入れ装飾をし、奥様が縫った帆を立てて出来上がります。
現在、販売は<海人 ¥18,000>・<ハーレー ¥23,000>・<爬龍船 ¥28,000>を
基本とする3隻。
こちらにご希望があれば、お好きな文字や装飾をします。
●海人 ¥18,000 ●ハーレー ¥23,000 ●爬龍船 ¥28,000
各スペック:長さ63cm×幅11×高さ50(置き台含む)
船材:杉(節無し) 帆材:綿・竹
付属品:トゥムエーク(舵取り櫂)1本
こうして本来のサバニの1/12スケール版・サバニ模型ができあがり、
お店に飾られたり、櫂にお孫さんのお名前を入れお祝い事用にと贈られたり、
また、網走にも嶺井さんの作品は遠く渡っています。
17年にはNHKの企画で日本財団が寄付をし、糸満で3隻の爬龍船(はりゅうせん)を制作しました。
現在はサバニの作り手がいないので、興味があった嶺井さんは
この爬龍船作りを見学しに通ったそうです。
その時は、ボイラーで9時から5時まで1日かけて両サイドのカーブ=曲げを作ったとのこと。
曲げは一度切れ目が入ればそのまますぐに割れてしまうため、
時間をかけながらゆっくり作らざるを得ません。
人間が無理に手を入れれば割れてしまう木を、自然の力で、
昔、糸満の舟大工たちは、エンジンのないサバニを作っていたのです。
糸満ハーレーでは、前方に鉦打ち(かねうち)1名、漕ぎ手が10名、
そして船体後ろの中央で舵取りをする1名の12名でサバニを動かします。
伝統あるシンプルな漁業に欠かせなかったサバニ。
ほんの数十年前まで漁師たちは、ひょいっと九州や南洋まで仕事に出かけていたのです。
先日、ハワイのホクレア号という古代航海術を用いたカヌーが糸満漁港に寄港しました。
サバニとホクレア号。
その用途や目的は多少異なりますが、日本で一番最初に糸満地域にホクレア号が
立ち寄ったことは、漁師や市民たちの、糸満の誇りになったのではないでしょうか。
糸満ハーレーは旧暦の5/4に行われます。今年は6/18(月)。
嶺井さんの姿もどこかで拝見できることと思いますので、
この日はぜひ糸満ハーレーへ出かけてみませんか?
「趣味工房 サバニ小」
沖縄県糸満市西川町37番2号
TEL/FAX 098-994-9059
http://www17.plala.or.jp/sabani/
