これから、数回にわたってアロマセラピーについてご紹介したいと思います。



今回は、アロマセラピーとは、一体なんだろうというお話です。 バラ、ラベンダー、ペパーミント、グレープフルーツ、レモン.... 植物にはそれぞれ特有の香りがあります。これらの香りを、みなさんは 意識したことがありますか? どんな植物の香りが好きですか?



沖縄には「月桃」(ゲットウ)という植物があります。「月の桃」と記す、そのロマンティックな名前にふさわしく、 その葉や実が放つなんとも言えない独特の芳香がします。



「アロマセラピー」とは、日本語では「芳香療法」と訳されており、 芳香を用いて行う植物療法、自然療法のことをいいます。ここでいう 芳香とは、植物から抽出した芳香成分(精油・エッセンシャルオイル) のことです。



アロマセラピーは、ある偶然的な出来事から生まれました。 20世紀はじめ、フランスの科学者ガットフォセは、実験中の事故で 手に重度の火傷を負いました。その時、偶然、近くにあったラベンダー の原液を患部に塗ったところ、すぐに痛みはおさまり回復も早く、 傷跡も残らなかったのです。 この出来事をきっかけに精油についての研究が始まり、精油には傷を 癒すだけでなく、免疫力を高めたり、精神的な病にも有効であることが 明らかになったのです。



みなさんは、何かよい香りを嗅いで元気が出たり、眠くなったり、 お腹がすいたり、遠い記憶がよみがえってきたことはありませんか? 逆に嫌いな匂いをかいで気分が悪くなったり、食欲が減退したことが あるかもしれません。これは、香りを嗅ぐことによって、私たちの身体 に何らかの変化が起こっているということです。 では、どうしてこのような変化が起こるのでしょうか。また、ハーブ の香りが本当に健康に役立つのでしょうか。次回はそのあたりのお話を していきたいと思います。





香りを嗅ぐだけで脂肪が燃焼する....そんなことが実際にあり得ると思いますか?



大手化粧品会社の研究によると、グレープフルーツの香りの成分の中には、 交感神経を活発化させて、中性脂肪を燃焼させる働きがあることが明らかになったそうです。 では、どのようなメカニズムでそのような身体の変化が起きるのでしょうか?



植物の香りのメッセージは、吸入することによって、脳、肺、そしてアロマセラピーマッサージなどによって皮膚から体内に伝わり、身体のなかで有効に働いて くれます。 今回は、香りのメッセージが脳から伝えられるメカニズムについてお話したいと思います。



さて、人間の持つ五感の中でも、嗅覚は、脳に直結している感覚であ るといわれています。植物の芳香成分は、揮発しやすい性質を持っています。 揮発(きはつ)して、鼻から吸入された芳香成分は、嗅神経を通して直接的に大脳辺縁系に伝わります。大脳辺縁系とは、感情や食欲、性欲など、人間の本能を 司る部分です。 美味しそうな香りを嗅いで急におなかが空いてきたり、良い香りを嗅いでほっとしたりするのはこのためです。



次に、この香りのメッセージは、記憶を司る海馬(かいば)という部分や、視床下部(ししょうかぶ)の脳下垂体(のうかすいたい)に伝わります。脳下垂体と は、自律神経系、ホルモン系、免疫系を統括する場所なのです。グレープフルーツの香りの成分は、自律神経系に作用し、ノルアドレナリンの分泌を活発化させ て中性脂肪の燃焼を促進させるのです。



 私たちの身の周りには、香りのする様々な自然物、加工物があふれていますが、このような嗅覚のメカニズムを知ると、香りにもちょっとこだわって、普段から 自然の、心地よい香りをたくさん体に取り入れたいと思いませんか?



アロマセラピーで利用される、様々なハーブから抽出した精油(エッセンシャルオイル)の有効成分は、鼻(臭覚)から大脳へ、また肺呼吸や皮膚から血管を通 して全身へ伝わることにより、私たちの心や体に良い影響を及ぼしてくれます。


例えば、美味しそうな香りを嗅いだ時、急におなかが空いてグーッとなってしまったことはありませんか?また、風邪をひいて咳き込んでいる時、ペパーミント などのの清涼感ある香りを吸い込むと、呼吸が楽になった経験はありませんか? それでは、このように様々な影響を及ぼしてくれる精油とは、一体何なのでしょうか?アロマセラピーショップなどには、いろいろな種類のハーブの名前が表示 された小さな小瓶に入った精油が売られています。中にはびっくりするほど高価なものも目にするでしょう。



これらの精油は、ハーブの花、葉、根、種、果皮、樹皮、樹脂などから抽出された芳香物質で、香りを嗅いで見るととても強い香りがします。それもその はず、 精油には、原料である大量のハーブのエッセンスが凝縮されているのです。 例えば、100kgのラベンダーから抽出できる精油の量は1 ~3kg、バラの花の場合は、わずか10~30g程(数十輪の花からたった1滴)しか抽出できないそうです。このように、大量のハーブからわずかな量しか 抽出できず、また、ハーブの種類により抽出できる量が異なるため、精油は高価であり、種類によって値段が異なるのです。 精油の特徴をいくつか挙げてみましょう。



まずは、ハーブの有効成分が高濃度に濃縮された揮発性の(蒸発しやすい)物質で、水に溶けにくく、アルコールや油に溶けやすいという性質がありま す。高濃 度であるために、必ず希釈して使用します。 また、精油は、とてもデリケートな物質で熱や日光、湿気などに弱く変質しやすいため、密閉容器に入れて冷暗所で保存するようにします。 植物によって含有成分が異なり、香りや色、粘性がそれぞれに違いがありますが、ほとんどの精油には殺菌、消毒作用があります。そして何よりも、精油は、合 成物が一切加えられていない、100%天然の産物なのです。植物が自然界の中で生み出した香りであるからこそ、様々な有効成分を含有し、自然界で生きる私 たち人間にも様々な良い効果をもたらしてくれるのです。



最近は、雑貨屋などでも精油の瓶と類似した入れ物に入った香料(ポプリオイルなど)が安価で販売されているのを見かけます。しかし、こうした安価な 香料に は合成物などが添加されているため、アロマセラピーでは使用できません。100%天然の精油には、植物の学名や産地、抽出部位、抽出方法などが明示されて いますので、必ず確認した上で購入し、使用するようにしてください。





「香りで美肌」、「香りで免疫力アップ」......  ハーブの香りには、こんな効果だって期待できるのです。  そもそも、植物には、どうして香りがあるのでしょうか。



植物が、動物と大きく違う点は、大地に根をはり、自力で移動することが できないということではないでしょうか。 植物は、害虫や病原菌が やってきても、逃げることができません。そのために、抗菌力のある 芳香成分を発してそれらを撃退したり、周りの植物に対し、香りを通じて 情報を伝達する、あるいは、受粉の際に虫達を引き寄せるために香りを 持っているのではないかと考えられています。



このように、植物にとって有効な働きをする芳香成分は、私たち人間の身体にも有効に働いてくれるのです。 前回は、香りの情報が、脳に伝わり、自律神経系、ホルモン系、免疫系のバランスを整えるというお話をしましたが、香りが体内に取り入れられるルートは、脳 からだけではありません。



人間が、呼吸によって吸入した芳香成分は、肺に到達します。そして、 肺胞から周囲の毛細血管に入り、血液循環によって全身をめぐった後、 排出されます。このように、香りの有効成分が全身に伝わることで身体全体の健康、免疫力アップが期待できます。 そして、蓄積せずに最終的には排出されるため、副作用の心配も少ないのです。



また、化粧品や軟膏、アロマオイルによるマッサージなどによって、 皮膚から芳香成分を取り入れる方法もあります。水は分子構造が大きく、 皮膚から吸収することはできません。しかし、芳香成分は分子構造が小さく、皮膚から吸収され、皮膚の健康すなわち美肌効果が期待できます。



そして、皮膚の奥にある毛細血管やリンパ管に伝わることで全身へ流れることができるのです。さらに、皮膚から全身をめぐる場合、胃や肝臓で分解されること がないという利点もあります。